素人でもできる骨董品鑑定方法を紹介!鑑定前に調べる3ポイントは?
骨董品の鑑定というのは、鍛えられた審美眼と膨大な知識があって成り立つものであり、一朝一夕で身につくものではありません。
しかし、要点を押さえてさえいれば、骨董品の価値をある程度までは見極めることができます。鑑定に重要な3つのポイントを紹介しますので整理する予定の骨董品を手に取り、正式な鑑定依頼をする前にご自身で調べて、見極め力を養ってみてください。その過程でさまざまな発見ができ知識も身についてきますので、ワンステップ足を踏み入れたレベルの高い骨董品収集をお楽しみいただけると思います。
骨董品って?
そもそも骨董品とは、どのような美術品などのことを指すのでしょうか?骨董品という言葉を辞書で調べると、「希少価値や美術的な価値のある古美術品や小道具類」と書かれています。世界的に見れば、100年以上経過したものを骨董品と定めていますが、日本では明確な日数が決められておらず、どれだけ希少で価値のあるものかで決まります。そのため、昭和時代のものであっても骨董品として取り扱われることがあります。
また、骨董品の種類には下記のようなものがあります。
・陶磁器
・絵画(日本画・洋画・版画)
・茶道具
・おもちゃ・模型(明治時代に製造されたブリキのおもちゃや模型など)
見分け方①:サインの有無
著名な作家が作成した骨董品であることを確認するための方法として、まず一つ目に、骨董品本体か、骨董品を収める共箱と呼ばれる外箱に作者のサインがあるかどうかを確認しましょう。サインだけでなく、刻印の場合もあります。サインは読めないものが多いですが、有無が大事なので読めなくても大丈夫です。ただし、サインがあるからといって本物だと判断するのは早計です。なぜなら本物に似せた贋作も潜在しているからです。サインはあくまでも、本物である可能性が上がるということに他なりません。そのことをしっかりと頭の隅に留めて骨董品収集を楽しんでください。また、サインは消えやすいため、保管は丁寧に行いましょう。
見分け方②:年代
骨董品は古ければ古いほど価値が上がります。そのため、骨董品が作製された年代を確認しましょう。年代は骨董品本体ではなく、骨董品を収める箱に書かれていることが多いです。
また、古いものほど価値は高いですが、その分破損しやすくなっていますので、適切な保管を心掛けるようにしてください。但し、お手入れのし過ぎには十分に注意が必要です。ホコリを軽く落とすくらいで済ませましょう。
見分け方のコツとしましては、例えば、磁器系の茶道具は、年代が古いものであればあるほど光沢が少なく、全体の色合いも薄れています。しかし比較的新しいものは、光沢が十分にあります。光沢が十分あり、色合いもはっきりとしているものは偽物の可能性が高くなると覚えておきましょう。
見分け方③:素材
骨董品はさまざまな素材を用いて作製されていますが、とくに宝石類の価値に近い素材で作られた骨董品は、とても価値の高いものとして評価されています。使用されている素材の割合にもよりますが、一部に使用されていても価値は高くなります。問題は素人目で見てどの素材が使われているのかを判断するのが難しいことです。金銀といった素材であれば分かりやすいですが、宝石は種類が多いため知っていないと判断できません。
骨董品で使われる貴重な素材の宝石は下記のようなものです。
・象牙
・血赤珊瑚(ちあかさんご)
・翡翠
・金銀
宝石類以外の素材を使用している骨董品の見分け方として、例えば墨などがあります。掛け軸などの日本画には墨や顔料が使われており、それら特有の「におい」がします。偽物はインクで再現されていることもありますので、においで真贋を見極めることが可能です。
偽物に注意する
『人々が買いたがるようなアート作品であれば必ず偽物がつくられている』
フランスの美術史家・批判家であるポール・ドゥリュー伯爵が、1904年にフランスで市場に偽物が多く出回っている原状を憂い、このような記事を発表したそうです。
昔から、骨董品の世界でも偽物の存在は、切っても切り離せない存在だということがよくお分かりいただけるかと思います。
贋作が多く出回っているため、骨董品だけでなく、共箱などの骨董品に付属するものにも十分に注意して、骨董品を購入する際や売る際には下記のことをぜひ思い出すようにしてください。
①偽物の骨董品が多く流出している
骨董品に偽物は付き物です。中国でも、とある鑑定のテレビ番組に出品された骨董品のほとんどが偽物だったそうです。中国の場合、偽物を作ることで生計を立てている人も多くいるため、それだけ多くの偽物が存在します。また、偽物だからといって簡単に見破られるものではありません。本物へ近づけるために、その年代に使われていた材料を使い、土の中に埋めて年代を感じさせたり、ときには破損させたりして偽物を作り出しているようです。
日本では、偽物の骨董品を買って後に偽物だと判明しても罪に問えないことのほうが多いです。それは、販売元が偽物だと知っていて、その商品を販売していたということを証明しなければいけないからです。販売元が本物だと思って販売していたと言えば、罪に問うことは不可能です。例え弁護士を通したとしても、罪に問ことも返金も難しいと覚えておきましょう。
また骨董品には箱書きといって、その作品自体を示す箱があります。箱には三種類あり、作者が作成日を記したもの、有識者が作者名と自分の名前を記したもの、所有者がいつ手に入れたかの記録などを記したものがあります。しかし、箱書きがあるからといって本物であると断定することはできません。箱は本物でも、中身を偽物にすり替えている場合もあります。そのようなケースがあることを念頭に置いておく必要があります。
②骨董品の鑑定書が偽物というケース
骨董品の鑑定書というのは、美術業界や作家の関係者が設立した公的な機関が発行した真筆の証明書のことをいいます。簡単にいうならば、本物であるということの証明書です。
鑑定書が付いていれば本物だと安心できますが、残念ながら骨董品の鑑定書にも偽物が存在します。有名な鑑定士が作成した鑑定書を模倣して、作成した鑑定書が出回っているのです。鑑定書が本物かどうかを見極めるには、登録番号などを公的な機関に確認する必要があります。また、中には本物であったにもかかわらず、何かしらの原因で効力を失ってしまったものもあります。公的な機関が消失していたり、権利がなくなっていたりするので、確認の手段ができないのです。鑑定書があるから安心できるとは一概には言えないということを、頭の片隅にしっかりと留めておきましょう。
まとめ
誰でもできる3つの鑑定のコツを書いてきましたが、まずは価値のないものだと決めつけず、価値を見出すために少しでも観察してみてください。そして、少しでも価値がありそうだと思ったら、骨董品鑑定士に鑑定を依頼しましょう。事前に自分で調べてから依頼すれば、先生に答え合わせをしてもらうような生徒の気持ちで見極め力を試せるかもしれません。
鑑定士に依頼する際は値段だけではなく、実績なども考慮して選び、骨董品の価値を最大限見出してもらいましょう。