大切な西洋アンティークを高額買取してもらうために必要なことは?
大切にしていた西洋アンティークを手放す際、できれば正しい価値を見極めて、買取してほしいものですよね。このコラムでは、高額買取をしてもらうコツはもちろんのこと、基本的な西洋アンティークの知識などをご紹介します。基本的なことを知っておくことで、より納得して取引を行うことができますし、説明されたことでおかしな点などに気付きやすくなります。まずは自宅にあるアンティークに関して少しでも情報を集めてみましょう。
そもそも西洋アンティークとは?
そもそも西洋アンティークとは、どのようなもののことを指すのでしょうか?
簡単に言うと、西洋アンティークというのは、ヨーロッパで「作られてから100年経ったもの」のことを指します。アンティークの時代定義は非常に難しく、アメリカで制定された通商関税法の「100年を経過した美術品・工芸品」というのが通説になっています。
また、欧米では、製造から100年を経過したものをアンティーク、それ未満のものはジャンクと分類して、品物を扱っています。ただし、1900年代の初めから流行したアールヌーヴォーやアールデコなどは、100年以上前のものでなくともアンティークとして扱われています。そのため、100年以上前のものだけでなく、現在では創り出せない優れた美術品も含めて、西洋アンティークとして扱うため、その品を西洋アンティークに含むかどうかの判断は難しいのです。
西洋アンティークの種類
一口に言っても、西洋アンティークとはどのようなものがあるのでしょうか。
そこで、西洋アンティークの大まかなジャンルをまとめました。下記以外にも種類はありますが、特によく扱われるジャンルですので覚えておきましょう。
・洋食器
・彫刻・家具
・ガラス工芸
・銀器・金属工芸
・人形
・ジュエリー
高額買取される西洋アンティークとは?
この章では、第2章で紹介したジャンルをさらに掘り下げ、そのジャンルの中でも、特に高額買取されている品をまとめました。
家具
家具というジャンルの中で特に高額で取引されている品を2種類ご紹介します。
猫脚
イタリアのクラシック家具は猫脚が特徴です。センスのよいデザインと彫刻が素晴らしく、日常生活の中に取り入れやすいので人気です。
ペルシャ絨毯
家具の中でもペルシャ絨毯は有名な品です。世界最古の絨毯として知られるペルシャ絨毯は、使い込まれるほどに艶が出て美しくなります。今のイラン・イスラム共和国あたりで作られており、起原は紀元前ですが、最盛期は15~16世紀とされています。
人形
人形と一口に言っても、種類があります。その中でも特に注目されているのが下記のドールです。
ビスクドール
西洋人形といえば、大抵の人はビスクドールを思い浮かべるのではないでしょうか。ビスクドールは、精巧で写実的に作られた磁器を素材にした人形です。ジュモー、ブリュ、シュタイナーなどの有名なメーカーであれば、高額買取が期待できます。
フィギュリン
フィギュリンとは、陶磁器製の人形のことです。有名なブランドは、リヤドロ、マイセン、ロイヤルコペンハーゲンなどがあります。種類や状態によっては、高額買取に期待できます。
洋食器
食器は同じように見えても、一つひとつの色や形、絵柄、スタンプが微妙に違っています。世界で一つしかないという点で人気が高いのでしょう。
セーブル
フランスで生産される磁器で、ロココ様式の絵画表現による色彩豊かな装飾が特徴です。別名「幻の陶磁器」と呼ばれており、現在でもフランス国家のための製作が中心となっております。高品質を保つために生産数は少ないので、高額買取に期待できます。
マイセン
ドイツのマイセン地方に誕生しました。初期は東洋的なデザインの影響もありますが、後にロココ調のデザインが主流になります。窯印のない初期の物は非常に希少価値が高いです。また、「アラビアンナイト」や「真夏の夜の夢」シリーズの食器やティーセットは特に高価買取が期待できます。
高額買取される作家
多くの骨董品の買取サイトで、高額買取対象の作家として例にあげられているのが、下記の作家たちです。紹介している作家はガラス工芸家が多いので、ご自宅にランプや花瓶などがありましたら、ぜひ参考にしてみてください。
エミール・ガレ
「ナンシー派」に属し、アール・ヌーヴォーを代表する工芸家の一人であり、ガラス工芸をはじめ、さまざまな分野で優れた才能を発揮した人物です。美術分野だけではなく、文学、哲学、植物学、鉱物学に精通し、その知識も作品に活かしたそうです。また、日本美術にも高い関心を抱き、日本的・東洋的な作品も数多く製作しています。
ランプや花瓶などを多く製作しており、その中でもモチーフに蜻蛉やキノコの文様が使われている作品や、側面にカタツムリなどが装飾されているものは希少価値が高いため、高額買取の対象となります。
ルネ・ラリック
フランスで、若い頃はジュエリーデザイナーとして、アールヌーヴォー様式の宝飾を作っていましたが、香水瓶を作ったことが転機となり、その後50代でガラス工芸家に転進しました。ガラス工芸家になってからも、アールヌーヴォー時代に好んだ動物、女性像、花などのモチーフを多く使用しています。素材は乳白色で半透明のオパールセント・ガラスを好んで用いていましたが、色ガラスを使用する場合は、単色で使用していました。
また、ジュエリーデザイナー時代に創り出した宝飾は、斬新なものばかりでした。水牛の角を使った髪飾りを多く製作し、エナメル細工で昆虫や鳥、植物や神話上の人物などをモチーフにネックレスやブローチなどを製作しました。
そのため、ガラス工芸家時代だけではなく、ジュエリーデザイナー時代に作ったものも人気なため、高額買取の対象となります。
ドーム
フランスのアール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸ブランドです。ジャン・ドームによって創業されましたが、息子たちのガラス工芸品で成功しました。その息子たち、兄のオーギュストと弟のアントナンは、「ドーム兄弟」と呼ばれ、仕上げの丁寧さに定評があり、スケールの小さなものにも繊細な絵付けが施された品が多くあります。
初期の作品は、きめ細かくはっきりとした美しさの植物をメインにした作品が多く、後期の作品は、ヴィトリフィカシオンの技法を使ったものが多いです。また、いろんなデザイナーや画家を集結させて工房を運営していたので、ドーム兄弟の作品にはいろんなジャンルの商品があります。
リヤドロ
現在でも世界的に愛されるスペインの大企業「リヤドロ」。始まりは、ホアン、ホセ、ビセンテのリヤドロ三兄弟が庭に小さな窯を築いたことからといわれております。20世紀の半ばに創業された企業ですので、100年に満たない作品しかありませんが、高い技術力で作られた人形は世界から注目を集めています。そのため、高額買取も期待できる品が多いです。
リヤドロの作品は、スケッチから製作に至るまで全て手作りで行われており、精巧さと優しい色合いの磁器人形が人気です。
高額買取のコツ
この章では、高額買取をしてもらうためにできることをご紹介します。こちらで紹介する方法はアンティークだけに関わらず、他のジャンルでも活用できますので、覚えておくと役に立つでしょう。
保存状態がいい
アンティークは保存状態のよさで、大きく買取価格に差が出ます。例えば、貴重なものであっても、大きな傷があるだけで価値は落ちてしまいます。そのため、保存する際に気をつけなければいけないことは多くあります。また、保管だけではなく、手入れを行う際も注意が必要です。
保管する場所は、湿度・温度ともに高くない場所を選びましょう。また、直射日光も避けなければいけません。日本で保管に適した場所はリビングですが、ペットを飼っていたり、小さな子供がいたりする場合は倉庫で保管するほうが安全です。倉庫の場合は、定期的に換気するようにしましょう。
手入れは、しっかりと行うのではなく、軽くほこりを落とすくらいにとどめてください。あまり力を入れて手入れを行うと破損してしまう可能性があります。気をつけて行いましょう。
有名な作家の作品
当たり前のことですが、無名な作家よりも有名な作家のほうが買取価格は上がります。例えば、第4章で紹介した作家は、多くの買取サイトにて高額買取が行われていますし、サイトによっては買取を強化されている作家です。もし有名作家の作品を持っている場合は、その作家の買取を強化している店舗で鑑定をしてもらうほうが他よりも買取価格が上がる可能性があります。ただし、他店舗でも鑑定してもらうことを忘れずに。
需要が高い
現在の市場でも需要が高いとその分価値は上がり、買取価格も上がります。ファッションの流行と同じで、アンティーク市場での需要は日々変化しますので、現在何が需要があるのかの見極めは難しいです。需要の高い品を知りたければ、買取業者に相談するときにでも聞いてみましょう。
付属品の有無
アンティークには基本的に箱や説明書のような紙が付属していますが、西洋の作品には箱がないことが多いです。元からないものは構わないですが、付属しているのにいらないからと捨ててしまうことのないように気をつけましょう。もし別々に保管している場合は、分かりやすいようにまとめておくとことを推奨します。
鑑定書が付いているものは、鑑定書が現在も有効かどうかは調べておくほうがいいでしょう。発行元があるかどうか、ある場合はそこへ有効かの確認を行います。有効だったものは失くさないように一緒にまとめておきましょう。
まとめ
一概に西洋アンティークといっても歴史が長いので、多種多様の工芸品・美術品があります。しかし、西洋アンティークに関する知識を携えておけば売却や購入する際に有効ですし、後悔しないやりとりをするためには必要なことです。当コラムを通して少しでも西洋アンティークについて知っていただき、高額買取への一助となりますと幸いです。