遺品整理で骨董品を見つけたらまずは鑑定!相続税についても解説!
遺品整理中に故人の集めた骨董品を見つけたときに「相続には関係するの?」「まずは何をするべき?」「注意点は?」など様々な疑問が出てくると思います。
本コラムではそのような場合の注意点や扱い方、相続税について詳しく解説いたします。
遺品に骨董品を見つけたときの注意点
「故人の遺品を整理していたら骨董品や美術品が見つかった」という事例は意外と多いものです。「意識してなかったけれど、そういえば実家に飾ってあった」という人もいるのではないでしょうか。興味のない人からすれば手入れも大変で持て余してしまうものかもしれませんが、中には市場価値があり、高値が付く可能性のあるものも存在します。ゴミとして処分するつもりだった骨董品に数十万円の値が付いたなんていう話もあるのです。
たくさんある遺品を手早く整理したいがために、つい不要なものと一緒にまとめて処分してしまいがちですが、骨董品は一般の人からすると一見して価値が分からないものだからこそ、扱いには慎重になる必要があります。
遺品整理には時間と手間、そして場合によってはお金もかかってしまいますが、この骨董品の扱いによっては費用面での負担が大きく軽減されるかもしれません。
遺品として骨董品を扱う際に注意してほしいのは「相続税」「負の遺産の有無」「トラブル対策」「骨董品の鑑定」の4点です。順番に詳しく説明します。
相続税
相続税とは、故人(被相続人)の財産を相続した人(相続人)が納めなければいけない税金のことです。
申告・納付期限
まず注意したいのが「申告・納付期限」です。相続開始を知った日(故人が亡くなった日、または亡くなったのを知った日)の翌日から10カ月以内となります。この期限内に申告しなかった場合や、実際のものよりも少額で申告・納付した場合には本来の税金にプラスして加算税を支払わなければいけません。
対象となるもの
遺品整理を行うのにいつまでといった期限はありませんが、相続額を算出するためには故人の資産を正確に把握する必要があります。そしてこの資産は現金や預貯金額だけでなく、不動産、貴金属、上場株式、有価証券、自動車など換金価値のあるものすべてが含まれます。骨董品や美術品もその対象なのです。
つまり申告・納付期限内に、遺品整理で発見した骨董品についてもその換金価値を調べておかなくてはいけないということです。
基礎控除
遺産相続をする際に相続税の申告をしなくても良いケースがあります。財産の合計が基礎控除額以下の場合です。
基礎控除額は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で算出できます。
法定相続人というのは民法で定められた被相続人の遺産を相続できる人のことです。受遺者(遺言によって財産を受け取る人)が法定相続人以外にいる場合でも、基礎控除額の算出の際には法定相続人の数だけで計算します。
負の遺産の有無
遺産の相続権は放棄することもできます。相続するのは良いものばかりではありません。「負の遺産」と呼ばれる借金などもあります。相続してプラスになることよりも、マイナスになることのほうが多い場合には相続権の放棄を選択することもできるのです。
この際に注意しておかなければならないのが、遺品の骨董品を売ったら相続放棄できなくなるという点です。2章でもご説明しましたが、骨董品は相続の対象なので、それを売却するということは相続の意志があるとみなされるからです。
つまり、遺品整理を行うと同時に故人の総資産の把握と負の遺産の有無を確認しておくことが重要になります。
「負の遺産」には借金(ローン、クレジットカードの未決済分など)以外にも固定資産税、所得税、住民税などの未払税金、医療費や水道光熱費などの未払経費なども含まれます。
トラブル対策
相続の際には相続人間での揉め事やトラブルを防止するために、事前にしっかりと話し合いをしておくことをおすすめします。どのように遺産を分けるのかを決める遺産分割協議を行うのです。
遺品の骨董品についても、売却した後に現金で分配するのか、それとも骨董品自体を誰かが相続するのか、なども相続人間で決めておく必要があります。骨董品自体を相続したいと考える人がいるのに、他の人が勝手に売却してしまったというようなことが起これば、トラブルに発展してしまうのも容易に想像できるでしょう。
骨董品の鑑定と業者の選び方
遺品で骨董品があった場合には前述の通り、遺産相続のためにも正確な価値を知る必要があります。
しかし、骨董品を鑑定するには高い審美眼と多くの知識や経験が必要です。さらには、骨董品には陶器や絵画、茶道具、人形、家具など様々なジャンルや分野があり、専門性も問われます。
遺品整理を行う場合、「相続人みんなで行う」「遺品整理業者に依頼する」「不用品回収業者に依頼する」のいずれかが多いでしょう。しかし、正しく価値を鑑定できる人がいなければ、高額が付くような骨董品をゴミとして捨ててしまうこともあるのです。そうならないため、必ず信頼できる鑑定士が在籍する機関や業者などに見てもらうようにしましょう。
買取業者の選び方
骨董品を高く買取してもらうためには業者選びも非常に重要なポイントです。そこで信頼できる買取業者を選ぶためのポイントを3つご紹介します。
売りたい骨董品と同じジャンルの品を多く扱う業者を選ぶ
骨董品には陶器や茶道具、絵画など数多くのジャンルがありますが、実は鑑定士や買取業者によってそれぞれ得意とする専門のジャンルや分野があるものなのです。精通しているジャンルの骨董品は数多く扱うので、さらに審美眼が磨かれていき、正確な鑑定を行ってもらえる可能性が高くなると考えられます。まずはホームページなどでそれぞれの買取業者や鑑定士がどのような骨董品を多く扱っているかを調べ、自分が鑑定・査定してほしい骨董品と同じジャンルのものを多く扱っているところを選びましょう。
複数の業者に相見積もりを依頼する
鑑定して欲しい骨董品を多く扱っている買取業者が見つかったら査定を依頼します。このとき、複数の業者に相見積もりを依頼するようにしましょう。それぞれの査定額を比較して、一番高値を付けてくれるところを選ぶと良いでしょう。
査定は無料で行ってくれる業者が増えてきました。しかし、業者によっては出張費や、郵送での査定依頼の場合は返送手数料などが別途必要になる場合もあります。査定依頼をする前に、こうした手数料がかからないか確認しておきましょう。
骨董品が複数点ある場合はまとめて査定してもらう
骨董品が一点だけなら安い査定額になっても、複数点の場合は他店よりも高値を付けてくれる業者もあります。もし骨董品が複数点ある場合には、まとめて査定してもらうのをおすすめします。
また、茶道具や食器類などセットになっているものは単体よりもセットのほうが、箱や付属品があるものはそれら全てを揃えたほうが査定額は高くなる傾向があります。
骨董品の買取を専門に行っている業者や信頼できる鑑定士がいる機関などに依頼するのが安心ですが、近頃は遺品整理業者や不用品回収業者の中にも骨董品専門の鑑定士が在籍しているようなケースもあります。「遺品整理や不用品回収もまとめてしたい」というようなときには、そうした業者にも相見積もりを依頼すると良いでしょう。鑑定眼の精度はそれぞれの鑑定士の力量によるところが大きいので、この場合も複数の業者に依頼するのがおすすめです。自分の要望や状況に合わせて業者選びをしてください。
まとめ
遺品整理の際に見つかった骨董品の扱い方や注意点についてご理解いただけたかと思います。それぞれの章でご紹介したポイントに気を付けて、遺品整理を進めてみてください。